取引先から「うちはISO27001(ISMS)を取っています」と聞いた。念のため、ISMS-ACのサイトで検索してみたけれど、会社の名前が出てこない。こんなとき、「本当に取っているのかな?」と思う方もいるかもしれません。
実は、日本の会社でも、ISMS-ACとは別のルートでISMSの認証を取っている会社があります。その場合は、ISMS-ACの検索には出てきません。この記事では、その理由と、確かめ方を、やさしい言葉で説明します。
1. まず知っておきたい、認証のしくみ
ISMSのような「マネジメントシステム」の認証は、3つの立場でできています。ひとつ目は、認証を取る「会社」です。ふたつ目は、会社を審査して認証を出す「審査機関(認証機関)」です。みっつ目は、その審査機関がきちんと審査できているかを確かめる「認定機関」です。
審査をする機関を、さらに別の機関が見守っている、というイメージです。認定機関は、基本的に1つの国に1つあります。日本では、ISMSの認定機関はISMS-ACです。なお、ISO9001(品質)やISO14001(環境)の認定機関は、JABです。
2. 国をこえて通用する「国際相互承認」
認定機関は国ごとにあります。そこで、各国の認定機関どうしが「お互いのやり方は、同じレベルです」と認め合う仕組みがあります。これを「国際相互承認協定」といいます。この仕組みのおかげで、ある国で取った認証が、ほかの国でも通用しやすくなります。
この協定をまとめてきたのが、国際認定フォーラム(IAF)です。協定に入っている認定機関には、日本のISMS-AC、イギリスのUKAS、アメリカのANAB、オーストラリア・ニュージーランドのJAS-ANZなどがあります。
なお、IAFは2026年1月に、試験所などの認定を扱うILACと一緒になり、新しい団体(GAC)になりました。これまでの認定は、引き続き認められる形で移っています。
3. 日本の会社でも、UKAS認定の審査機関で取れる
認証を取る会社は、どの審査機関に頼んでもかまいません。そして、審査機関ごとに、どの認定機関から認定を受けているかが違います。日本で活動している審査機関の中には、ISMS-ACではなく、イギリスのUKASから認定を受けている審査機関があります。
そうした審査機関で審査を受けて取った認証は、「UKAS認定」のISMS認証です。ISMSの認証であることは変わりません。国際相互承認があるので、国際的には、ISMS-AC認定の認証と同じレベルのものとして扱われる仕組みです。
ひとつ注意があります。同じ審査機関が、ISMS-ACとUKASの両方の認定を持っていることもあります。そのため、「審査機関の名前」だけでは、どちらの認定の認証かは決まりません。認証書を見るのが確実です。
4. なぜ、ISMS-ACの検索に出ないのか
ISMS-ACのサイトにある検索は、ISMS-ACの認定を受けた審査機関で認証を取った組織を載せるためのものです。UKAS認定の審査機関で取った認証は、ISMS-ACの認定の外にあるので、この検索には出てきません。
つまり、「認証を取っていないから出ない」のではなく、「別の認定機関のルートで取っているから出ない」ということです。また、ISMS-ACの検索ページには、公表は各審査機関の同意を得て行っていると書かれています。ISMS-AC認定の審査機関で取った会社でも、公表されていないだけの場合があります。
| 項目 | ISMS-ACの認定を受けた審査機関で取った場合 | UKASの認定を受けた審査機関で取った場合 |
|---|---|---|
| 認定した機関 | ISMS-AC(日本) | UKAS(英国) |
| 認証書につく認定機関のマーク | ISMS-ACの認定シンボル | UKASの認定マーク |
| ISMS-ACの検索サイト | 対象です。ただし、公表は審査機関の同意のうえで行われます。 | 対象外です。載りません。 |
| 国際相互承認 | 対象 | 対象 |
| 確かめる方法 | ISMS-ACの検索、認証書、審査機関への問い合わせ | 認証書、IAF CertSearch、審査機関への問い合わせ |
当社のISMS認証取得組織数の推移のページに載せている数字も、ISMS-ACが公表している登録数です。UKAS認定の審査機関で取った組織は、この数字には入っていません。
5. 取っているかどうかを、確かめるには
検索に出てこなくても、「取っていない」と決めつけないでください。次の方法で確かめられます。
① 認証書を見せてもらう。会社名、登録番号、認定機関のマーク、有効期限、認証の範囲(どの事業所・どの業務か)を見ます。
② 審査機関に直接問い合わせる。審査機関に聞けば、その会社の認証が有効かどうかを教えてもらえます。
③ IAF CertSearchで調べる。世界の「認定を受けた審査機関が出した認証書」を調べられるデータベースです。ISOの案内でも、確認の方法として紹介されています。ただし、見つからない場合もあるので、その場合は①か②で確認します。
6. 取引先とのやりとりで、気をつけたいこと
取引先や入札の条件で、「ISMS-ACの認定を受けた審査機関の認証」と指定されることがあります。反対に、海外の親会社や取引先が、特定の認定機関(たとえばUKAS)を求めることもあります。どちらの場合も、取る前に、取引先の要求を確認しておくと安心です。
国内の取引が中心の会社では、ISMS-ACの認定を受けた審査機関を選ぶことが多いようです。一方で、海外との取引が多い会社は、UKAS認定の審査機関も選択肢になります。
まとめ
ISMSの認証には、ISMS-ACのルートのほかに、UKASなど海外の認定機関のルートがあります。どちらのルートで取っても、国際相互承認の仕組みで、同じレベルの認証として扱われます。ただし、ISMS-ACの検索に出るのは、ISMS-ACのルートで取った会社だけです。
「検索に出ない=取っていない」ではありません。認証書や審査機関への確認で、確かめてください。ISMSの取得や更新でお困りのときは、当社のISMSの取得・更新支援もご覧ください。
